東日本大震災77

準備にひと月以上かかったが、いよいよ石巻地区の自宅避難者向けのアセスメント調査を開始します。
この調査は、行政などが仮設住宅の方々に向けて行っている健康調査と同等以上の物で、学術的なデータ取りの調査では無く、困っていることに迅速に対応するために行う調査です。
「それって、行政がすることじゃないの?」と、説明するたびに同じ事を聞かれますが、行政がやらないから、でも同じ被災者でありながら支援の輪から取り残されて困っている現実を自分たちは知っているから、きちんとした実態を把握して、民が民を助けるという新しい仕組みづくりをしようとしているのです。
予備調査の段階で、様々な問題が浮き彫りとなりました。
リフォームが進まない、仕事のマッチングが上手くいっていない、精神的な不安、精神的に不安定、将来に対する不安、被災判定への異議、不便な買い物、経済的な危機、布団が無い、冬服が無い、暖房器具が無いなど抱える問題は様々です。

予備調査を手伝ってくれた看護師、介護士の人たちも震災や津波被害を知らない人たちで、はじめは戸惑いながらも、何故、自分たちがやらなければならないのかという必要性や住民たちが抱える悩みにふれて、明確な使命感をもって取り組んでくれるようになった。また、多くの被災体験を聞くので、精神的な2次被災で苦しむ多くのボランティアの二の舞にならないように、毎日グループセッションで負担を軽減する工夫も自然とするようになった。
調査を拒否する被災者も、ごくまれにいますが、多くの人は「気にかけて、話を聞いてもらえただけでも気が楽になった。」と傾聴ボランティアとしての効果もあることが、認識することが出来た。
人手はまだまだ足りません。
看護師、介護士、福祉士などのスキルを持つ人が望ましいが、冷静に人の話を聴ける大人の人に是非お手伝いして欲しいです。

床や壁が抜けたままの状態の家が多いことに驚かされます。
むき出しの地面からの冷気は、確実に体と心を痛めつけます。
そんな部屋を温める暖房器具が無い。あったかい服が無い。
そんな中で、布団無しで寝ている人を2週間で300人見つけました。
不安定な足場から落ちて骨折している人多数。
まだまだ復旧が終わっていない。
うわべだけの復興騒ぎをしているのは、モノを知らない県外の人。
先週やっと電気が通った市街地があります。
未だに水道の無い暮らしをしています。都市ガスの復旧を待っていましたが、あきらめてプロパンガスに切り替え中です。
台風で崩れた道路は春まで直りません。
毎日、毎日冠水で床下浸水しています。
そんな地域は、三つ股、浦屋敷、黄金浜、荻の浜、梨木畑、みんな石巻市です。

レアなケースを取り上げて被災地は困っていないと言う人がいます。
確かにそういう人もいるかもしれません。それでも被災地は困っている、多くの支援を必要としている。
8000人の自宅避難者を知っているチーム王冠が言っているんです。
困っていないと言う人は、何人知っていますか?